マイセンには、伝統的に作り続けられる逸品の数々と共に、新しく生まれる作品群があります。アイコニックなマイセンの逸品をご紹介しましょう。
クレタヴェース「マイセンの絵付の世界」
マイセンの造形と絵付の技術と芸術が結集した逸品。花瓶のフォームは1856年に、歴史主義のアーティスト、エルンスト・アウグスト・ロイテリッツが原型を創作したものです。
古代ギリシアでぶどう酒と水を混ぜるのに使われていた「クレタヴェース」という古典的なフォームを19世紀に芸術作品としてよみがえらせました。
本作品の制作は、作業前に約3ヶ月間素地を寝かせることから始まります。フォームの制作には4人のろくろ師、1人の造形家、1人の成型師が携わり、約2週間かけて作品に取り掛かります。本体はろくろで形を作り、パーツごとに作業型を用いて制作した後、一つに組み立てていきます。組み立てられた作品はフィルムで覆い、約4週間かけてゆっくりと乾燥させます。その後まだ湿気が残った状態の作品からフィルムを取り除き、さらにもう2ヶ月寝かせ、時間をかけて完全に乾燥させ、焼成されます。素焼き後、下絵付され、焼成後に上絵付が行われます。
花瓶の本体には148、脚部には85の絵付面があります。そこに約130の異なるモチーフを、29人の絵付師が描いていきます。このデザインは、モダンでエッジの効いたアイテムを手掛けるマイセンのクリエイティヴディレクター、オットー・ドレクスラーによるものです。
伝統的なブルーオニオンや明ドラゴン、花絵付などから、現代のアラビアンナイトやロイヤルパレスなどに至るまで、約310年にわたって培われてきたマイセンの絵付が一堂に会します。