Mädchen mit zwei Katzen, Jahresfigur 2014
マイセン 新作コレクション イヤードール 「少女と猫」2014年
2014年 マイセンから新しい「イヤーコレクション」が登場しました。
マイセンの作品の中でコレクションアイテムとして人気の人形(フィギリン)を1年に一作づつ発表していく「イヤードールコレクション」。
記念すべき初年度の作品は「少女と猫」。
20世紀初頭に登場した人気シリーズ「ヘンチェルの子供シリーズ」の意思を受け継いだ作品をアルフレッド・ケーニッヒ(Alfred König/1871~1940年)が制作した「子供シリーズ」の復刻版となります。
少女の優しいまなざしや猫と戯れる仕草に心がなごみます。コレクションにも贈物にもおすすめです。
マイセンの人形制作
作品の原料、硬質磁器の製造に不可欠なカオリンを、マイセンでは、近くの自社鉱山で採掘しています。世界最小の「鉱山」と呼ばれるザイリッツ。
ここでマイセン磁器に白さと硬さを与えるカオリンが、人手で掘り出されています。
カオリン、石英、長石という原料のうち、カオリンは65%という非常に高い割合を占めていることが、マイセン磁器の特徴になっています。 これらを泥状にし、水分をある程度抜いて「磁土」を作ります。
▲原料:カオリン
マイセン初期の天才造形家、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーは、自身が生み出した優れた作品が後世においても作り続けられるよう、石膏で「型」をとることを考案しました。磁土でまず形づくり、それをパーツごとに切り分けて、そこから石膏型を起こすのです。
マイセンには、戦禍を逃れた23万種類以上の作品の型(原型)が保管されており、それらを母型として作る作業型から、現在でも昔と同じ手法でさまざまなフォームの作品が生まれています。
▲型からパーツの取り出し(作業イメージ)
パーツごとに作られ、磁土で貼り付け一体となった人形は、素焼き、施釉(うわぐすりをかけること)、本焼成を経て、人形絵付部門に回されます。
ここで歴史に忠実に、ひとつひとつ絵付され仕上げの焼成を行ないます。
このようにマイセンの人形をはじめとした全ての作品、インテリア、カップ&ソーサーなどのテーブルウェアまで、現在でも手作業でドイツ・マイセンで制作をされています。
▲絵付作業(作業イメージ)
20世紀初頭、そのたぐいまれな手法で子供の世界を磁器に表わした、ユリウス・コンラート・ヘンチェル(Julius Conrad Hentschel/1872-1907年)。 当時すでに200年の伝統を持ち、クラシックな磁器を作り続けていたマイセン磁器製作所に、文字どおり若々しい新風を吹き込みました。ヘンチェルは、子供のあらゆる姿、表情、しぐさのひとつひとつを生き生きと的確にとらえ、彼の独自のスタイルを確立しました。
今回のイヤードールと同じような、「少女と猫」の姿を表した作品をヘンチェルも作成しています。
ヘンチェルの子どもたち「猫を抱く女の子」 品番:73367/900300
サイズ:高さ:約12cm
ヘンチェルが1905年に原型を作った作品。
ヘンチェルの子供たちは、いずれも遊びに没頭し、見る人に視線を向けていないことが特徴の一つです。
媚びることのない純真な姿が時を超えて愛されています。
この「猫を抱く女の子」は、いとおしくてたまらない、という風に猫を抱く女の子の表情と、対照的に迷惑そうな猫の顔がユーモラスで微笑ましい作品です。
その他の「ヘンチェルの子どもたち」
造形家 アルフレッド・ケーニッヒ(Alfred König) が活躍した時代
イヤードール 「少女と猫」を造った、アルフレッド・ケーニッヒ(Alfred König/1871~1940年)はアール・ヌーヴォー時代の代表的造形家で、1897年からマイセンで活躍を始めました。
彼が活躍した19世紀末から20世紀の初頭は、ドイツでは「ユーゲントシュティール(Jugendstil)」と呼ばれる新しい装飾美術様式「アール・ヌーヴォー」の時代。
ヨーロッパを中心に開花した芸術運動、芸術様式です。さまざまな表現方法が誕生し、植物のモチーフを多用した曲線的装飾、機能性や合理性と対極にある唯美的な傾向が見られます。
この頃のマイセンの人形や動物像にもアール・ヌーヴォーの影響が色濃く見られる作品が残っています。
ユーゲントシュティール(アール・ヌーヴォー)時代、その時代を表現した作品
ケーニッヒは、今回復刻された「子供シリーズ」の他にも、2013年 世界限定コレクション:人形「傘を持つ夫人」のような当時の大人の女性の姿を映しとった作品も残しています。
2014年イヤードール「少女と猫」
品番:73800/900195
サイズ:高さ 約12cm
少女が2匹の猫と遊ぶ姿が表現されている、2014年イヤードール「少女と猫」。
少女が着る服も、アール・ヌーヴォー時代の服装の特徴である動きやすく実用的なモダンなスタイルで淡い色彩の絵付がされています。
ヘンチェルの子どもたち「猫を抱く女の子」より年上で、スラリと伸びた長い腕と指、子供の丸さが無いシャープな輪郭の顔、猫に向ける慈愛に満ちたまなざしは「女性」を感じさせる表情ですが、猫に夢中になり、スカートの裾が上がるのも気にせずに膝をたてた姿は、大人の女性には無いしぐさで、彼女がまだ子供で「少女」であることを感じることが出来ます。
▲少女の表情(正面)
▲少女の表情(横顔)
ヘンチェルの作品でも、女の子と猫の表情の違いがユーモラスに表現されていますが、「少女と猫」でも猫を見つける少女の優しく楽しげなまなざしとは対照的に、左腕に載せられ少し不機嫌そうな猫と、突然抱え上げられビックリしたのか目を丸くした表情を見せる猫、彼女に遊ばれる2匹の猫の表情も細かく表現されています。
▲猫(右手)
▲猫(左腕)
マイセン磁器の真正を証明する「剣マーク」
マイセン磁器の真正を証明する「剣マーク」。通常はコバルトブルーで描かれますが、作品により色を変えることがあります。
ザクセン選帝侯の紋章からとられたこのマークは、シュヴェルトラーと呼ばれる剣マーク専門の絵付師によって、ひとつひとつ描かれます。
作品に剣マークを描くのは、「シュヴェルター」は「双剣」のことで、描く人のことではなく、剣を描く人は男性なら「シュヴェルトラー」(Schwertler)、女性なら「シュヴェルトリン」(Schwertlerin)と呼ばれます。イヤードールにももちろん描かれています。
▲剣マーク(作業イメージ)
2014年8月より全国のマイセンの取り扱いがある店舗にて販売を開始いたします。
※全国のマイセンの取り扱い店舗は
こちら をご覧ください。
- 「イヤードール」は名前の通り、その年に限定で制作・販売をさせる限定作品となります。数に限りがございますので品切れの場合はご容赦ください。
- すべて手作りおよび手書きで制作されるため、色・柄・サイズが多少異なる場合がございますので、ご了承ください。
- お客様の環境により(PC・その他電子端末)写真と実物の色合いは多少異なる場合がございます。