2017年9月、マイセン磁器製作所の絵付師、ヴィクトリア・シュトライヒェルト氏が、 阪急うめだ本店で開催された絵付の実演のために初来日しました。シュトライヒェルト氏は将来を嘱望されているプラーク部門の若き絵付師で、実演会では卓越した技術の絵付を披露しました。初めての日本の印象や作品への思いなどを伺ったシュトライヒェルト氏のインタビューをご覧ください。


◇ プラーク


プラークとは「磁板画」のことです。磁器をキャンバスに見立てたかのような筆致は、時に「焼物」の常識を超え、絵画のそれに等しいほどです。マイセンでは、名画を磁器の上に再現する、という形で1753年から作られてきました。 炎をくぐる焼物に、窓辺の光、花や果物のみずみずしさを再現するのは至難の技です。しかしマイセンではこの試みに果敢に挑戦してきました。そして、1960年に設立された「芸術の発展をめざすグループ」のアーティストたちによってドラマチックな発展を遂げました。そして、まるで磁板が布製のキャンバスでもあるかのように、自由自在に絵を描き、独自の作品世界を展開してきました。



▲ヴィクトリア・シュトライヒェルト氏
プロフィール


ヴィクトリア・シュトライヒェルト氏

Viktoria Streichert


ドレスデン造形職業教育センターで教育を受けてから、
2011年にマイセン磁器製作所附属養成学校に入った異色の存在。
豊かな創造性と優れた技術から卒業と同時にマイセンのプラーク部門に配属されました。
ブレッチュナイダーの後継者として、今最も注目されている絵付師の一人です。


-  初めの日本の印象はいかがですか?

ヴィクトリア・シュトライヒェルト氏(以下S・V):日本人はとても親切で、いつも、どこでも温かく接してくれます。日本に来られて、とても幸せです。


- 今回のマイセン展のためにデザインしたクジャクのプラーク、ひまわりのカップ、アルブレヒト城の花瓶についてお話しいただけますか?

S・V:クジャクはとても美しい鳥なので、以前から興味を持っていました。クジャクの体や羽の持つ色彩の美を、マイセンの多彩な顔料で白磁の上に表現したいと思ったのです。 ひまわりの花は、私の師であるホルスト・ブレッチュナイダー氏と相談して決めた図柄です。明るく輝くようなひまわりの色はカップに描いたらきっと映えるだろうと思い、デザインしました。花瓶は、マイセンに関するモチーフにしようと思い、マイセン磁器が生まれた場所であるアルブレヒト城にしました。アルブレヒト城は、私がいつも見ているものですし、美しいお城だと思います。


- どんな絵柄が好きですか?

S・V:私は花のモチーフが好きです。特に軽やかな明るい花が好き。プラークに描くことが多いですが、注文がくれば花瓶に描くこともあります。


- 将来の夢、これから描きたいものは何ですか?

S・V:自分自身をもっと成長させ、他の絵付師やアーティストからいろいろなことを学び、多くのことを吸収したいと思います。そして、自分のスタイルを確立して、発展させていきたいです。描いていきたいのは、やはり花の絵付です。


- 日本のマイセンファンにメッセージをお願いします。

S・V:マイセン磁器が、皆さんの日常生活に喜びをもたらしますように!そして、ずっとマイセンの友でいてください!!