18世紀初め、王侯貴族はコーヒーという新しい飲物に夢中になり、マイセンも数多くのコーヒーサーヴィスセットを創り出しました。100年後、主役は王様から裕福な市民階級に移り、ビーダーマイヤー様式によっていくつかの新しいフォームが生まれました。スワンの取手をもつこのサーヴィスセットはその代表的なものです。23金を用いたマットな面から、浮き上がるように金の装飾文様が現れ、豪華な中にも繊細な作品となりました。

マイセンの古文書資料館にあった古い絵柄をもとに、牡丹の花が描かれました。牡丹は明るい青の染付で描かれ、金襴手の部分には暗い青が用いられて、牡丹の花を覆っています。また輝くような青い染付とマットな金彩がコントラストを成していますが、特に金彩に染付が組み込まれているデザインは技術的にきわめて難しいものです。染付部分が施釉される一方、金彩部分は施釉されないためです。また型ではなく、ろくろを使って成形されるため、同じものが二つとない点も大きな特徴です。